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2015年4月7日火曜日

想像力✤私見➋「メタモルフォーゼ」


 わずか1~2ミリの卵からかえったアオムシはそれからの2週間、元気に動き回りながら、4回の脱皮を重ねて、体長3センチまで大きくなります。
 やがてサナギになって身をひそめ、それから1週間から十日ののち、殻をやぶってモンシロチョウの成虫となり飛び立ちます。(成虫の寿命は2週間ほど)
 
 あらためて想像してみると、なんと劇的な変容でしょう。蝶のこうした変態は、古くから私たち人間の内面の成長・変化のシンボルとしてもとらえられてきました。

                       
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 このような自然界での「変化、変容、変形、変態、変身」が、ドイツ語では〈metamorphose 
メタモルフォーゼ〉です。(英語では〈metamorphosis メタモルフォーシス〉)
 これに対して「人為的に変形・変質させる(する)」の英単語が〈transform トランスフォーム〉。(ドイツ語は〈verwandeln フェーヴァンデルン〉)

 ここで「かたち」に関するふたつの語に出会いました―。
 〈トランスフォーム〉に入っている〈フォーム〉は現在一般的にも使われています。美術ではフランス語の語感で〈フォルム〉と使うことが多いですね。(ラテン語語源のようです)
 一方、〈メタモルフォーゼ〉はギリシャ語語源で、夢の神・モルフェウスから派生した〈モルフェ〉からの造語です。モルフェは自然界のかたちに使われました。

 俊英の研究者の方々が峻別された、ふたつの語のニュアンスの違いは以下のようになります。

 フォーム ⇒ 固定した/静的な 姿・形 (結果としてのかたち)
 モルフェ ⇒ 流動・変化する/動的な 姿・形 (形づくられる過程全体としてのかたち) 
 
 私たちの想像力そのものが、後者の〈モルフェ〉の質をもっている、自然界と切り離されてはいない能力、エネルギーだと気が付きます。

                       
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 『若きウェルテルの悩み』などのドイツの文豪・ゲーテ(1749~1832)は、もう一つの面では自然研究者でもありました。
 自然界の色彩現象についての観察研究『色彩論』や、植物や動物の内的な構造を研究した「モルフォロギ―(形態学)」を遺しました。ゲーテはメタモルフォーゼモルフェに着目し、人間の想像力と智の関連性を探求した、近代の巨人でした。

 ゲーテの遺作『ファウスト』(詩劇)は、まさに人間の魂の遍歴、魂のメタモルフォーゼの軌跡をダイナミックに描いた作品です。(台詞のなか随所に、ゲーテの直観的な宇宙観が示されています)
 実は、手塚治虫氏(1929~1989)はこの『ファウスト』を、生涯で最低2回、漫画化しています。(2度目の『ネオ・ファウスト』は手塚氏の未完遺作となりました)

 手塚氏の70年代初期の漫画・アニメ作品に『ふしぎなメルモ』があります。主人公の少女・メルモが青と赤の(魔法の)キャンディーによって、大人や赤子に「変身」するというモティーフで描かれています。―この主人公の名は「メタモルフォーゼ」からつけられたものと推測します。

 手塚氏が巨人ゲーテに共感し、生涯インスピレーションをいただいていたことがわかります。



 

 



 

2015年3月21日土曜日

想像力✤私見❶「まねぶ」

 人間は生涯「学ぶ」存在です― 生活習慣から知識体系、身体技能まで。

 「まなぶ」の古語は「まねぶ」。その音韻から察するように「まねる」が根っこ。
つまり、師の所作や伝えるところを「まねる」ことから、やがて自分のものにすることが
「まなぶ」。

 子どもたちは100%まねぶ存在です。大人と違い、無意識に次々とまなび、吸収して
いきます。(よいことも、よくないことも。親は「自分の鏡」として、ハッとさせられる経験
があります・・。)


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 こども教室では数年前から、毎月配布する「活動のよてい表」に繰り返し載せている
フレーズがあります。 

   賢いひとは慌てない、 よく聞く、よく見る、 そして よく思い描く(イメージする)

 ひとが何かを能動的に学ぶときに、意識しなくても行われているプロセスです。小学生
時代にぜひとも身につけていただきたい「生きる姿勢」です。

 ただし、ここで言い添えたいことがあります。―フレーズの末尾の「よく思い描く」は
けっして《静止画》的なものではなく、《その内容の一連の流れとして》イメージすること
です。
 
 
 ですから、冒頭の「まねぶ」に結び付けて、ここでは次のように言い換えることができ
ます。
  
   賢いひとは慌てない、よく聞く、よく見る、そして よく「なぞる」